卵管障害の原因や治療法とは?将来の妊娠のために理解しよう

女性の生殖に関わる大切な器官でありながら、子宮と卵巣とを繋いでいる卵管について理解している人は少ないのではないでしょうか?

なんと精子と卵子の通り道である卵管が、狭くなってしまったり塞がってしまったりすると自然妊娠の確率が下がってしまうのです!卵管の障害や検査・治療法についてしっかりとした知識をつけていきましょう。

卵管の働きについて

大きく分けて5つの働きがある

卵管のつくりは卵管子宮口から「間質部(かんしつぶ)」、「峡部(きょうぶ)」、「膨大部(ぼうだいぶ)」、「采部(さいぶ)」となっており、卵管子宮口の直径はたったの1mmほどしかなく、卵巣に向かって徐々に内腔(管の太さ)が広がっていくようになっています。

卵管には妊娠に関わる大切な働きが大きく5つあります。

1.卵子を取り込む

卵巣から排出される卵子を采部にて取り込みます。

排卵誘発剤などを用いた時に妊娠確率が高まるのは、排卵誘発によって卵胞液が増加し采卵部での卵子の取り込みがしやすくなることによります。

2.卵子と精子の受精

采卵部で取り込まれた卵子は膨大部へと移動をしていき、そこで精子が到着するのを待ちます。

卵管内は粘度のある液体で満たされており、その中を通過することによって精子の表面をまとっていた抗原が取り除かれて受精しやすくなります。

3.精子の輸送

卵管子宮口と峡部を通過する時に精子の数が制限されるようになっており、それらを通過した精子が卵子の元へと移動していきます。

その数的制限と共に卵管上皮から様々な物質によって精子の動きが活性化されることも分かっています。

4.受精卵を発育する

膨大部で受精した卵が最初の分割をして「胚(受精卵が二分割すると胚と呼ばれる)」へと成長し、更に分裂を繰り返し成長します。

その成長には、輸送の際に精子を活性化させていた卵管上皮から成長因子が重要になっています。

5.胚の輸送

成長を続ける胚を子宮へと運んでいきます。卵巣から分泌される女性ホルモンのバランスが変化することよって、卵管周囲の血流と卵管内圧が変化して胚を子宮へと正常に送り込むことができるようになっています。

卵管障害とは

卵管が閉塞、狭窄を起こす

時になんらかの原因によって卵管の内腔が卵管狭窄(卵管が狭くなってしまう状態)を起こしたり、卵管閉塞(卵管が塞がってしまう状態)を起こしたりすることがあります。

狭窄や閉塞を起こすと、卵管は精子の通り道でもあり卵子が精子の到着を待つ場所でもあるので受精に大きく影響してしまいます。

また受精後に狭窄や閉塞が起きれば正常に胚を子宮に運ぶことができなくなってしまいます。

卵管閉塞の代表的な疾患としては「卵管水腫(らんかんすいしゅ)」という病気があります。

細菌の侵入などによって卵巣との接合部であり、卵子を取り込む役割を持った卵管采(らんかんさい)が炎症を起こします。

その症状がひどくなると炎症部分に膿がたまってしまい、更に重症化することで水漿(すいしょう)が溜まって水腫ができ卵管の閉塞を起こします。

卵管の周囲が癒着してしまう

子宮外妊娠や子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)、性感染症などが原因で卵管が炎症を起こすと、周囲の細胞との癒着が起こることがあります。

特に卵管采の周囲で癒着が起きてしまうと、卵子を取り込むことが困難(ピックアップ障がい)になり不妊症の原因となります。

産婦人科で不妊相談を行ったときに、不妊症ではないと診断されたカップルの約85%は1年以内に妊娠をするとされています。

しかし、不妊症ではないと診断されたにも関わらず約15%のカップルは妊娠ができないことになり、そのおおよそ半数に卵管周囲の癒着が認められているといわれています。

卵管障害があると自然妊娠ができない?

治癒で自然妊娠可能な場合も

卵管障害が発覚した場合でも自然妊娠が可能なケースは多くあります。

なぜなら卵管は2つあるからです。

まず「卵管狭窄」の場合には卵管の通り道が狭くなってしまっている状態を言いますが、その程度によっては確率は正常な卵管と比べて低くなってしまいますが妊娠が可能な場合があります。

また一方が狭窄を起こしていてももう一方は正常と言うケースもあります。

また、「卵管閉塞」によって一方の卵管が塞がってしまっていたとしても、やはりもう一方の卵管が閉塞を起こしていないのであれば自然妊娠の可能性はあるでしょう。

卵管障害の原因について

子宮内膜症などの骨盤内の炎症

妊娠中に胎児が成長するとても大切な器官が「子宮内膜」です。

子宮内膜には常在菌といって、健康状態に関わらず様々な種類の菌が住んでいます。

子宮内膜での炎症自体は抗生物質の投与などで治癒するのですが、治療が遅れてしまったりすると生殖器官の合併症を引き起こしたり、生殖能力を低下させてしまうケースがあります。

炎症を起こす原因としては常在菌の働きやバランスの乱れ、性病や結核などがあります。

また、出産直後や流産をした後など、過度なストレスが起きた直後などには子宮内膜炎を起こすリスクが高くなることが知られています。

感染症による卵管炎

その名前の通りに卵管で炎症を起こす病気が「卵管炎」になります。卵管炎を引き起こす原因として考えられるのが感染症や、何らかの理由で細菌が卵管へと侵入することです。

膣や子宮内膜には常在菌が存在するのですが、卵管内はほとんど無菌状態を保たれています。なので、細菌やウイルスへの耐性が低く炎症を起こしやすいのです。

開腹手術後の癒着

手術は効果の大きい治療方法の一つですが、開腹など身体を不自然に傷つける行為であることに変わりはありません。

身体は組織が傷ついたりすると自己免疫力で回復しようとし、癒着をします。

その時に正常な細胞と正常な細胞とが癒着する場合を「創傷治癒」といい、繋がって欲しくない部分がくっついてしまう望まない状態を癒着と呼ぶことが多いのです。

なので開腹手術後にも癒着は起こっており、それが生殖器のいずれかに不本意に癒着を起こした場合に妊娠を阻害するケースが出てきます。

卵管障害の症状は?

自覚症状はなく気づきにくい

卵管障害の症状としては「おりもの」ににおいや色がついたり、稀に下腹部痛や発熱を伴うことがあるようです。

ですが、それらの自覚症状を感じる人は多くはなく、不妊の検査で用いられる卵管造影検査を受けたときに発覚するケースが多いようです。

卵管障害はどんな検査でわかる?

まず通気検査、通水検査を

まずは卵管の狭窄を見る為に「卵管通水検査」や「卵管通気検査」を行うことが多いようです。

卵管通水検査では生理後2日ほどの低温相の時期に行い、子宮口からカテーテルを挿入し生理食塩水を流します。

この時に子宮を生理食塩水で満たしポリープの有無や、両方の卵管の通り具合などを検査します。

卵管通気検査では生理食塩水ではなく炭酸ガスを子宮口から流します。

キモグラフと呼ばれる子宮内圧力を計測する機器と聴診器を用いて炭酸ガスが滞りなく流れているのかを検査します。

通水検査も通気検査も、治療法として有効である為に検査後には卵管の疎通性が良くなり妊娠確率が上がることがあります。

卵管造影検査での診断が多い

卵管の通りを確認する為に行われる重要な検査に「卵管造影検査」があります。

子宮内にバルーンカテーテルを挿入し膨らませて固定します。その後、造影剤を注入しレントゲンを撮ります。

造影剤注入直後と24時間後の2度レントゲンを撮り、造影剤の広がり方を診て卵管の疎通性などを確認します。

通水検査や通気検査もそうなのですが、この卵管造影後にも卵管の通りが良くなる為、検査後90~180日ほどは「ゴールデンタイム」と呼ばれる妊娠をしやすくなる期間だと言われています。

腹腔鏡検査を行うことも

最も精度が高い検査とされているのが「腹腔鏡検査」になります。

通水検査や造影検査では完全ではなかった癒着の有無や子宮筋腫などの病理の発見ができます。癒着箇所や子宮筋腫の発見と同時に摘出手術なども行うことができますが、1日入院を必要とします。

卵管障害の治療方法について

腹腔鏡手術で癒着を剥離する

腹腔鏡検査で子宮周囲癒着が見つかった場合には、そのまま癒着を剥離する手術を受けることができます。

全身麻酔を用いて行うので施術中の痛みはありませんが、おへその下と左右脇腹の計3か所に1cm程度の手術痕が残ってしまいます。

また検査の時期が決まっており、現在妊娠していない状態で月経終了後の低温期か避妊した高温期に行います。

卵管形成手術で卵管を回復する

卵管形成手術は通水検査などで卵管狭窄や卵管閉塞が見つかった「卵管性不妊」の患者を対象とした内視鏡手術の一つになります。

膣からカテーテルを挿入し、内視鏡で確認しながら癒着を剥離することができる安全性の高い治療法です。

また女性の避妊手術の一つである「卵管結紮(らんかんけっさつ)」手術でも用いられます。

体外受精という選択肢も

卵管障がいが進行してしまったり、その他の疾患によって卵管切除を行った場合には自然妊娠はできなくなってしまいますが、体外受精という選択肢が残されています。

ただし体外受精による妊娠には母体や胎児へのリスクがあることも念頭に置いて、選択をしなければなりません。

かかりつけ医やパートナー、家族ともしっかりと相談をして選ぶようにしてくださいね。

治療の保険適用について

体外受精は保険適用外

卵管障がいに関わる検査や治療については保険が適用されるのですが、体外受精は保険適応外なので注意しましょう。

特に体外受精は手法の選択や妊娠確率を上げる方法を選ぶかなどによって費用が大きく異なります。

相場としては1回の試みで10万~100万円ほどで、必ず1度で妊娠ができるわけではないので都度費用はかさんでいきます。

将来の為にも検査を小まめに受けましょう

卵管障がいは自覚症状がほとんど見られず、自分で発見するのはなかなか難しいのが現実です。

ですが、放っておいてしまうと最悪の場合には妊娠の確率が下がってしまったり、自然妊娠が困難になってしまうことも無いとは言えません。

日頃から生理のことや、おりものの確認をして違和感があれば産婦人科にかかるようにしたり、自然妊娠がなかなか上手くいかないと感じるようならパートナーと一緒に医師に相談をしてみましょう。

早期発見と早期治療を目指していきましょうね。